「約」は「やく」ではなくて「およそ」

「約」は「やく」ではなくて「およそ」

仕事を始めて、まだ日が浅いころ、単位が何だったか思い出せないが、「約○人」だか「約○分」という文字が原稿にあった。1990年代前半、手書き原稿が圧倒的に多かったころの話。

そこでテストの時に「やく○にん」だか「やく○ふん」と読んだところ、いきなりディレクターから「およそ!」の声。「はい?」と聞き返すも「お・よ・そ」とゆっくり区切って、やはり3文字のみの返答。なんのことやらさっぱり分からなかったが、どうやら「約」を「およそ」と読めと言っているらしい。

ちなみに「およそ」を漢字で書くと「凡そ」。「約」も「およそ」と読むのかと辞書で調べてみるも、音読みで「ヤク」、訓読みでは「つづ・める」しか無い。そう、どう頑張っても「約」は「およそ」とは言わないのだ。

なので、ディレクターさんが漢字を覚え間違えしていると解釈し、「およそ」読みをして収録を終了した。

業界特有の言い回し

ところが、「約」と書いて「およそ」と読むのは、この業界特有の言い回しみたいなもので、耳に心地いい音として、あえて「およそ」読みしていること。さらに「百(ひゃく)」と聞き間違えないようにということが仕事を続けていくうちに判明した。最初からひらがなで「およそ」と書けばいいものを、なぜ「約」と書いて「およそ」と読ませるのか理解に苦しむが……。

ちなみに「翌朝」も「よくちょう」「よくあさ」と2通りの読み方があるが、似たような理由でやわらかい雰囲気、語感を尊重し、「よくあさ」と読むようになっている。

しかし、2010年ころから、「やく」と読むナレーションをテレビなどで耳にする機会が増えてきた。なぜだろう? そのうち、原稿に「約」とあれば「やく」読みで、「およそ」の場合はひらがなで「およそ」となるのだろうか……。

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