起終点駅 ターミナル/桜木紫乃 小学館文庫
起終点駅 ターミナル/桜木紫乃
2015/3/11初版、小学館文庫(加筆改稿 2012/4、単行本)
「鷲田完治が道東の釧路で法律事務所を開いてから三十年が経った。国選の弁護だけを引き受ける鷲田にとって、釧路地方裁判所刑事法廷、椎名敦子三十歳の覚醒剤使用事件は、九月に入って最初の仕事だった(表題作「起終点駅」)。
久保田千鶴子は札幌駅からバスで五時間揺られ、故郷の天塩に辿り着いた。弟の正次はかつてこの町で強盗殺人を犯し、拘留二日目に自殺した。正次の死後、町を出ていくよう千鶴子を説得したのは、母の友人である星野たみ子だった(「潮風の家」)。北海道各地を舞台に、現代人の孤独とその先にある光を描いた短編集を、映画化と同時に文庫化!」。
北海道が舞台
北海道を舞台にした6本の短編からなる1冊。描かれる人物の多くは、どこにでもいる普通の人たちで、人間関係や精神的にも孤独な人ばかり。その上、ストーリーも取り立てて何かがあるわけでもなく、本当に平易な文章。なのに、作者の筆力と構成力で、ぐいぐい惹かれてしまう。
殺伐とした現代社会が垣間見えるいい作品群だったけれど、「海鳥の行方」「たたかいにやぶれて咲けよ」の2篇だけ、なぜか同じ登場人物を軸に描かれている。全篇違う登場人物で通すか、1人の登場人物を中心にするか、どちらかに統一してほしかった。何かの伏線かと思って、残り2篇、集中できずに読んでしまった(笑)。
作者の桜木紫乃さんは、一昨年、2013年に「ホテルローヤル」で直木三十五賞を受賞した作家さん。今まで桜木さんの文章は読んだことがなく、この「起終点駅」が僕が初めて読む桜木作品となった。有名な文学賞を受賞するような人は、やはり面白い。
ちなみに、この「起終点駅 ターミナル」、帯によると今年の秋に監督:篠原哲雄、佐藤浩市、本田翼、尾野真千子出演で劇場公開されるらしい。

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