雪が降る/藤原伊織 講談社文庫

雪が降る/藤原伊織 講談社文庫

雪が降る/藤原伊織
2001/6/15初版、講談社文庫(1998/6、単行本)

母を殺したのは、志村さん、あなたですね。少年から届いた短いメールが男の封印された記憶をよみがえらせた。若い青春の日々と灰色の現在が交錯するとき放たれた一瞬の光芒をとらえた表題作をはじめ、取りかえようのない過去を抱えて生きるほかない人生の真実をあざやかに浮かびあがらせた、珠玉の六篇」。

本棚食堂

「テロリストのパラソル」で、江戸川乱歩賞と直木三十五賞のダブル受賞という、史上初かつ、いまだ続く者がいない快挙を成し遂げた作家・藤原伊織氏の6編からなる短編集。広告代理店の電通に勤めながらの二足のわらじ作家で、「テロリストのパラソル」は本当に面白かった。なのに、なぜか縁が無く、藤原伊織さんの作品は「テロリストのパラソル」だけしか読んだことが無かった……と思っていたら、この「雪が降る」を「テロリストのパラソル」よりも前に読んでいたことに気付いた(笑)。

「本棚食堂」の第5話「謎解き編」で「テロリストのパラソル」のホットドッグが取り上げられ、「うわぁ、懐かしい、「テロリストのパラソル」。昔、読んで面白かったなあ。よし、次は藤原さんの作品を読もう!」と、藤原伊織さんの「雪が降る」を読んでみたのだ。1話目の「台風」を何事も無く読み過ごしたものの、2話目の「雪が降る」で「あれ?」と思い、3話目の「銀の塩」で、かつて読んだことを思い出した(^^;。しかも、「テロリストのパラソル」よりも前に!

しかしそのときは、3話の「銀の塩」の主人公・島村が、「テロリストのパラソル」の主人公と同一人物ということに気が付かなかった!? 「銀の塩」は、恐らく「テロリストのパラソル」の後に書かれたものでありながら、時間軸は前の話。島村の逃亡生活の一端を垣間見ることができたので、今回、間違ってまた読んでしまったことは、それはそれで良かった(^^)。

この「雪が降る」は、藤原伊織さんの短編が6作品詰まった短編集。それぞれにつながりは一切無く、ハードボイルド感は「紅の樹」1編以外全く無し。なので、藤原伊織さんの得意とするハードボイルドを楽しみたいと手に取ると、ちょっと拍子抜けしてしまうかもしれません。でも、藤原さんの違った一面を覗くことができ、なかなかいいものです。

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