ルパンの消息/横山秀夫 光文社文庫
ルパンの消息/横山秀夫
2009/4/20初版、光文社文庫(2005/5、カッパノベルス。2008/3/6、文庫化にあたり、さらなる加筆・修正)
「十五年前、自殺とされた女性教師の墜落死は実は殺人――。警視庁に入った一本のタレ込みで事件が息を吹き返す。当時、期末テスト奪取を計画した高校生三人が校舎内に忍び込んでいた。捜査陣が二つの事件の結び付きを辿っていくと、戦後最大の謎である三億円事件までもが絡んでくるのだった。時効まで二十四時間、事件は解明できるのか!? 著者“幻の傑作”待望の文庫化」。
処女作
映画、そしてテレビドラマ化された作品を数多く持つベストセラー作家の1人、横山秀夫さん。その横山秀夫さんの原点が、この「ルパンの消息」。1998年に小説家デビューをした横山さんですが、処女作はその7年前、新聞記者だった1991年に「第9回サントリーミステリー大賞」の佳作を受賞した、この「ルパンの消息」。
取調室での1990年と、事件が起こったその15年前、1975年当時の模様が交互に織り込まれ、じょじょに謎が解明していくというストーリー構成。勢いだけで書かれているような印象を受けたり、くどい言い回しがあったり、高校生のセリフ回しが微妙だったりと粗が目立つが、処女作ならばそれも当然。今でこそ、ものすごい筆力でグイグイと作品世界に引き込む横山さんの文章ですが、こういう時代もあったのだと、ちょっとうれしく思ってしまう。

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