活動寫眞の女/浅田次郎 集英社文庫

活動寫眞の女/浅田次郎 集英社文庫


活動寫眞の女/浅田次郎
2003/5/25初版、集英社文庫(1997/7単行本、2000/5文庫本、双葉社)

昭和四十四年、京都。大学の新入生で、大の日本映画ファンの「僕」は友人の清家忠昭の紹介で、古き良き映画の都・太秦の撮影所でアルバイトをすることになった。そんなある日、清家は撮影現場で絶世の美女と出会い、激しい恋に落ちる。しかし、彼女は三十年も前に死んだ大部屋女優だった―。若さゆえの不安や切なさ、不器用な恋。失われた時代への郷愁に満ちた瑞々しい青春恋愛小説の傑作」。

浅田次郎の筆力

昭和44年という、僕が生まれた年の京都が舞台。この世にはもう存在しない幽霊と、主人公ら3人との間で起こる恋愛事情を描いた、なんともノスタルジックな物語。ホラーというか怪談なのに、そんな感じはあまりなく……。アニメ映画「ウィンダリア」の下敷きになった「雨月物語」の「浅茅が宿」を、なんとなく思い浮かべてしまった。

作者の浅田次郎は、昭和44年当時18歳。そして、物語の中で語られる31年前の昭和13年には、当然のことながら生を受けていない。取材や資料、そして自身の記憶などをもとに想像で書いたと思われるが、以前に読んだ「日輪の遺産」同様、全く違和感を感じなかった。この筆力には本当に感服する。起伏の少ないストーリー展開に昭和44年という古い時代設定ゆえ、つまらないと感じる人も多いと思うが、「活動」と言われていた日本映画の草創期を知る資料としても、なかなか良い。

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