ソロモンの偽証 第Ⅲ部 法廷(下)/宮部みゆき 新潮文庫
ソロモンの偽証 第Ⅲ部 法廷(下)/宮部みゆき
2014/11/1初版、新潮文庫
「ひとつの嘘があった。柏木卓也の死の真相を知る者が、どうしても吐かなければならなかった嘘。最後の証人、その偽証が明らかになるとき、裁判の風景は根底から覆される―。藤野涼子が辿りついた真実。三宅樹理の叫び。法廷が告げる真犯人。作家生活25年の集大成にして、現代ミステリーの最高峰、堂々の完結。20年後の“偽証”事件を描く、書き下ろし中編「負の方程式」を収録」。
というわけで、いよいよ明日、後編が劇場公開される「ソロモンの偽証」3部作全6冊を読了した。第3部の5冊目から6冊目の途中における法廷シーンが面白く、一気に読んでしまった。法廷での心理戦というか、検察側と弁護側の丁々発止たる駆け引きに引き込まれたのが原因だ。この法廷シーンを書きたいがために「ソロモンの偽証」があるかのように、ここだけが僕には秀逸に感じた。それは、4冊目までのダラダラ読みが嘘のように、はまり込んでしまったくらい(笑)。
学校関係者に読んでほしい
ミステリーの世界で「倒叙物」と呼ばれる、答えを最初に提示して、それを解き明かしていく形式を踏襲したのか、かなりのヒントを最初から明かしている、この「ソロモンの偽証」。なので、結末がある程度読めてしまい、「でも、大どんでん返しで、実はこうなのかも?」と期待しつつ読んでいたが、そんなことはなく、第一印象通りの結末だった。ジャンルとしては現代ミステリーのようだけれど、どちらかといえば社会派的要素がかなり強く、僕としてはミステリーの体裁を借りた社会派ドラマという感じがしている。
学校、ひいては教育界そのものにおける隠蔽体質、大学を卒業して教職に就く、学校という狭い社会しか知らないのに教育者という教師の矛盾、親による児童虐待、学校内でのいじめ、差別など、学校に関連する社会的問題を鋭くえぐってあり、前にも書いたけれど、学校関係者、そして中学生、高校生に、ぜひとも触れてほしい内容。
ほぼ丸9年間という長期連載小説
それにしても長い。面白かったと言っておきながら否定するのは恐縮だけれども、文庫本1冊平均500ページにも及ぶ本が、全6冊も必要だったのだろうか? それだけのページ数を割かなくても支障の無いシーンに登場人物、また重複するシーンも見られ、それらを整理すれば、もっと読みやすくなったはず。もう少しコンパクトにまとまっていたら、冒頭から引き込まれるようにして読んだかもしれない。
この文庫本最終6冊目に収録されている「負の方程式」は、20年後の主人公が登場。150ページの書き下ろし中編なので、気になる方は、ぜひ!
ということで、予備知識が何も無かった「ソロモンの偽証」について、ちょっと調べてみた。
あまりにも膨大な紙数を使っているため、もしや? と思ったが、やはり連載物だった。連載誌は「小説新潮」。しかし驚いたのは、その期間。なんと、2002年10月号から2011年11月号まで。途中で2号分、掲載していないようだけれど、ほぼ丸9年間という長期連載。マンガだって9年も連載を続けていたら、つまらない中だるみの期間がありますし、その間にも様々な事件・事故が起こり、かつ、他の仕事もこなし……。それらを考えるだけでも、宮部みゆきさんのすごさが分かるというもの。
あとがきで作家・評論家の松山巖さんが、「ソロモンの偽証」というタイトルについて述べられているのですが、新潮社の「ソロモンの偽証」ページにアップされている原作者・宮部みゆきさんSPECIALメッセージを聞く限り、同様の考えのよう。さて、僕はどう採ろうか?
文庫本の裏表紙に書いてある「現代ミステリーの最高峰」とは思わないけれど、お薦めに値する作品です(^^)。

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