六月六日生まれの天使/愛川晶 文春文庫

六月六日生まれの天使/愛川晶 文春文庫

六月六日生まれの天使愛川晶
2008/5/10初版、文春文庫(2005/5、単行本)

ふと目覚めると、私は記憶を失っていた。同じベッドには、ゴムの仮面を破った全裸の男が眠っている……。ここはどこ? この男は誰? 扉を開けると、意外にも外は雪。そして初老のサンタクロースが、私に手招きをしている! 記憶喪失の女と謎の男の奇妙な同居生活、その果ての衝撃! 傑作ミステリー長篇。解説・大矢博子

途中までツラかった

「天使」という文字に惹かれて手に取ったのが、この愛川晶さんの「六月六日生まれの天使」。初めて知った方なのでWikipediaで調べてみたら、高校の社会科教師から作家になったベテラン作家さんだった。

女性版ハードボイルド的なものだが、それが判明したのは大詰めも大詰め。半分を過ぎるまでは、もうただただ読むのがつらかった。それぐらい、つまらない。「いつ、面白くなるのだろう。もしかしたら、ハズレ?」と、本当に苦行のように読み進めていたら、次第に視界が開け、読後は「すごい! なんて筆力と構成力!!」と唸ってしまった。

とにかく、読み手をミスリードするために、キャラクターが変わっているのに一人称で話を進めるわ、時間軸はめまぐるしく入れ替わるは、あり得ないというか、非常に特異な設定を用いるわ、とにかく叙述トリックを駆使する筆力と、その構成力は「すごい!」のひとこと。多少、強引なところはあるものの、これだけ爽快に読者である自分を引っ掛けてくれるのであれば、目をつぶります。

でも、訳が分からず、話の先も読めないシーンに、延々と紙数の半分近くを費やすのは、いかがなものか? 途中で挫折して、最後まで読まなかった人も結構いたのでは? 僕はそこそこ楽しめたけれど、ストーリー自体はよくある話なので、作者が読者をからかって遊んでいる小説と怒る人もいるかも? そんな作品です(^^;。

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