ゼロの迎撃/安生正 宝島社文庫

ゼロの迎撃/安生正 宝島社文庫

ゼロの迎撃安生正
2015/3/19初版、宝島社文庫(2014/7、単行本に加筆修正)

活発化した梅雨前線の影響で大雨が続く東京を、謎のテロ組織が襲った。自衛隊統合情報部所属の情報官・真下は、テロ組織を率いる人物の居場所を突き止めるべく奔走する。敵の目的もわからず明確な他国の侵略とも断定できない状態では、自衛隊の治安出動はできない。政府が大混乱に陥る中で首相がついに決断を下す――。敵が狙う東京都市機能の弱点とは!? 日本を守るための死闘が始まった」。

 

先月読んだ「生存者ゼロ/安生正 宝島社文庫」でデビューした安生正さんの現時点での最新作であり、デビュー第2作目となる「ゼロの迎撃」。デビュー作である前作と違い、格段に筆力が増している。手に汗握り、時に涙し、実に面白かった。

が、あまりにもご都合主義で予定調和的な面も否めない。主人公の真下三佐が1人で難問をどんどん解明するスーパーエリートぶりは、あまりにも現実離れしている。「なんで、そんなことまで知っているの?」「なんでその仮説が正しいと思い、突っ走るの?」。確たる根拠が無いのに、あれよあれよという間に真下の推理が的中し、話が進む進む。そんな超人ぶりを見せつけておきながらも人としての弱さを露呈し、あくまで真下も普通の人間だと強調するのには、ちょっと抵抗感が生じてしまう。

また、真下三佐と3人の部下だけで謎のテロ組織の解明に立ち向かい、その上、それと対峙するというのも……(^^;。まあ、テロ集団の活動場面や、真下と政治家、官僚たちとの描写などが面白く、その欠点を凌駕しているから良いけれど。

それにしても、最後があまりにもあっけない幕切れ。前作の「生存者ゼロ」もそうだったけれど、安生作品は2作とも終わりがあまりにも物足りない。「生存者ゼロ」は勢いで書いているような感じだったし、初めての作品だったから仕方が無いけれど、「ゼロの迎撃」はラストに向かって話を強引に進めているような展開だったから結末に期待したのに……。

ところで、つい先日、というか今日現在も、フランスでテロ関連事件が起き続けている。この本を読み始めて数日で実際に起こった無差別同時テロ。東京でテロが起きたときに、政府、警察、自衛隊の対応などがこうなってしまうのか!? と、非常に参考&勉強になった。

安倍政権によるテロ対策支援、自衛隊の戦争参加、憲法9条の改正など、アメリカ、イギリス、フランス同様、テロの標的になるのは時間の問題と言われている日本。来年は三重県の志摩でサミット(主要国首脳会議)が開催されて各国の代表が集まるし、この作品のようなことが起きてもおかしくはない。

生存者ゼロ/安生正 宝島社文庫

コメント

タイトルとURLをコピーしました