沈底魚/曽根圭介
2010/8/12初版、講談社文庫(2007/8、単行本)
「現職国会議員に中国のスパイがいるという情報によって、極秘に警視庁外事課に捜査本部が設置された。指揮官として警察庁から女性キャリア理事官が送り込まれるが、百戦錬磨の捜査員たちは独自に捜査を進める。その線上に浮かんだのは、次期総理の呼び声高い芥川健太郎だった。第53回江戸川乱歩賞受賞作」。
第53回江戸川乱歩賞受賞作
漢字三文字のタイトルで、最後の漢字が「魚」。「どんな話なんだろう?」と興味を惹かれ、裏表紙のあらすじも確かめずに読んでみた。表紙を見てびっくり! なんと、「第53回江戸川乱歩賞受賞作」だった!?
ストーリーは、警視庁の公安に所属する警察官が主人公のスパイ物。話が二転も三転もするのだが、別にどんでん返しというわけではなく、ただ単に、やっぱりこっち、いやこっち、いやいやいや、こっちだった、というもの……。
なかなか出来たプロットだとは思うのだが、作者の筆力が及ばないせいなのか、僕が“公安”という存在にうといために内容をスッキリと理解できないせいなのか、いまいち消化不良。また、同じ部署なのに相容れない人間関係の描写も微妙だった。二転三転するストーリー展開がどんでん返しだったら、また違った感想になったんだろうけど……。長編デビュー作で、ここまで描き切ったのは新人としてはすごいと思うが、ドラマ性が乏しかった。

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