ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪/今野春貴 文春文庫

ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪/今野春貴 文春文庫

ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪/今野春貴
2012/11/20初版、文春文庫

あの有名企業も「ブラック」化している! 若者を使い捨て、日本の未来を奪う。その恐るべき手口とは? 1500件の労働相談が示す驚愕の事実。
違法な労働条件で若者を働かせ、人格が崩壊するまで使いつぶす「ブラック企業」。もはや正社員めざしてシューカツを勝ち抜いても油断はできない。若者の鬱病、医療費や生活保護の増大、少子化、消費者の安全崩壊、教育・介護サービスの低下―。「日本劣化」の原因はここにある!」。

中央大学法学部在学中の2006年に若者の労働相談を受け付けるNPO法人「POSSE(ポッセ)」を立ち上げ、執筆時点で1500件を超える労働相談に関わってきた著者。その著者が、ブラック企業の被害者である従業員からの相談例を示すことでブラック企業の実態を紹介し、ブラック企業の生まれた経緯、ブラック企業への対処法を著した本。

居酒屋・和民の「ワタミ」、衣料品店の「ユニクロ」、牛丼・すき家の「ゼンショー」、居酒屋・日本海庄やの「大庄」などなど、ここ数年、新聞やニュース番組を賑わせているブラック企業。

サービス残業といった、収入に見合わない過酷な労働を強いる会社のことをブラック企業というのかと思いきや、この本によると、あえて大量採用し、選別にかけて落ちた、会社にとっては必要のない従業員を意図的にうつ病にして、自己都合退職で辞めさせる会社のことらしい。

若者の離職率

被害者側の実態例がいくつか紹介されているのですが、「本当にこんなひどいことをするの?」という、まるで自殺者が出た学校のイジメや新興宗教の洗脳のような惨状。会社名が出ている事例もあるのですが、加害者である会社側の意見がないため、こういった企業の内情を知らない僕には、にわかには信じられない。その人がイジメられているだけだったのに、その会社全体がブラック企業扱いされているのでは? と、そんな印象を受ける箇所も。

この本を読んで浮かんだことが、若者の離職率。入社したのにすぐ辞めてしまうなど、若者の離職率が高い理由として「ゆとり世代」が挙げられて久しいが、もしかしてゆとり教育のせいではなく、初めて入社した会社がブラック企業だったために辞めざるを得ない状況に追い込まれたのでは? 若者の離職率が高い理由は、実は若者側にあるのではなく、長引く不況や日本のいびつな政治経済によって変わってしまった企業側にあるのではないのだろうか?

仕事は生活を豊かにするためにするはずなのに、仕事をするために生きている人が、いかに多いことか。このような世の中は確実に間違っていると思う。しかし、どうすれば、それを変えられるのか……。

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