土地狂騒曲/津本陽 角川文庫

土地狂騒曲/津本陽 角川文庫

土地狂騒曲/津本陽
1993/8/10初版、角川文庫
1981/5 講談社より単行本、1984/10文庫本「土地に向って突進せよ」改題。

上司の妻と不倫に陥り、大手企業を退職した善次郎は、繊維問屋を営む家族からも冷遇され、土地取引に身を投じた。
金も背景もなく、ただ利殖の才能だけを武器に蓄財の階段を駆け上がる善次郎の成功物語(サクセス・ストーリー)をとおして、土地取引による利殖のカラクリ、社会悪ともいうべき地価高騰のメカニズムを描出する。土地狂騒曲に踊り、踊らされ狂奔する人間の欲望と無常の姿を描いた経済小説の傑作」。

1978年に「深重の海」で第79回直木三十五賞、1995年に「夢のまた夢」で第29回吉川英治文学賞を受賞した歴史小説の大家、津本陽。その津本陽氏初期作品の現代経済小説。

歴史小説ではなく経済小説

「津本陽=歴史小説」と頭の中にあったので、「ん? このタイトルは歴史小説じゃないような……」と裏表紙を見てみたら、土地バブルに湧く昭和の経済小説。「津本陽の現代小説なんて珍しい!」ということで読んでみることに。

南海市という架空の街を舞台にし、関西弁を加工した架空の方言なのか津本さんの実家の和歌山弁なのか、ちょっと訛りが読みづらい。しかし、昭和32年当時の江坂や服部、南方という、自分とゆかりのある大阪の町の描写があり、違う意味で感動(^^)。

それはともかく、社会の一部の人間の手によって価値のない土地が安く買い叩かれ、虚構の価格が上乗せされるという土地取引の利殖方法を垣間見ることができた。1981年(昭和56年)と古い作品だが、やっていることは、おそらく今も変わらないだろう。少子高齢化で日本の人口が減り、地価の高騰を招くのは利便性の高い土地に限られるだろうが……。

パッと見、難解に見える文章ながらも、そんなに苦もなく読めたので、機会があったら津本陽の歴史小説も読んでみようっと。

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