最後の証人/柚月裕子 宝島社文庫
最後の証人/柚月裕子
2011/6/18初版、宝島社文庫(2010/5、単行本)
「元検察官の佐方貞人は刑事事件専門の敏腕弁護士。犯罪の背後にある動機を重視し、罪をまっとうに裁かせることが、彼の弁護スタンスだ。そんな彼の許に舞い込んだのは、状況証拠、物的証拠とも被告人有罪を示す殺人事件の弁護だった。果たして佐方は、無実を主張する依頼人を救えるのか。感動を呼ぶ圧倒的人間ドラマとトリッキーなミステリー的興趣が、見事に融合した傑作法廷サスペンス」。
2008年、「臨床真理」で宝島社「第7回 このミステリーがすごい!」大賞を受賞してデビューした柚月裕子さんの法廷サスペンスで、佐方貞人シリーズの1作目。
以前に読んだ「検事の本懐」「検事の死命」の前に書かれた作品ながらも、作品の中では主人公のその後を描いたもの。なので、今作から読んで主人公の若いころを描いた続編を読んでもいいし、僕のように若いころの作品を読んでから1作目の今作を読んでも何も支障は無い。
プロットとしては「被害者は実は○○だった!」と、過去に小説やらテレビドラマやら映画などで見聞きしたことがあるようなものだが、法廷での検事と弁護士のやり取りを描いた柚月裕子さんの筆力が素晴らしく、同じようなプロットの中でも最高の出来だった。「法廷ものが好き!」という僕の個人的趣味もあるけれど、「俺の正義は、罪をまっとうに裁かせることだ」「罪を犯した者はさばかれるべき」「裁判は被告人と被害者のためにある」と、警察、検察が共謀して隠蔽した悪事を白日のもとにさらけ出した主人公の姿は、本当に感動を味わわせてくれた。
現在の時間軸である法廷シーンと過去の出来事を交互に割り込ませる手法は効果的ではあるが、それがあまりにも頻繁に起こるため、ストーリーに入り込んでいる途中で現実に引き戻されてしまった。もう少しその頻度が少なかったら、僕にはもっと感動的だったかもしれない。本当、構成というのは難しい。それにしても、この「佐方貞人シリーズ」、続編はあるのだろうか? ぜひとも書き続けてほしい。

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